大学進学で島を出て驚いたのは、「佐渡島」の知名度の低さだった。
佐渡金山が世界遺産登録されるよりも10年以上前の話だから、仕方ないのかもしれないけど。
佐渡を説明する時、当時の私はついネタに走りがちだった。バスは1~2時間に1本しかないとか、マクドナルドはないけどモスバーガーはあるとか、本土に渡るには船で最低でも1時間かかるとか、コンビニはセーブオンしかないとか。(セーブオンはその後すべてローソンに変わった)
自虐して笑いを取る以外、都会に太刀打ちできるものがなかったのだ。
なんでもそろっていて、どこにでも行けて、街は24時間眠らなくて、多種多様な人間と一日に何百人とすれ違う。
飲食店、遊び場所、習い事、バイト、全ての選択肢が多く、私は上京して初めて、「自由だ」と思った。
車を運転できない学生の身でも、どこにでも行けた。必要な物はすぐ手に入った。何をするにもスピーディーで、一つの選択肢が潰れても他の選択肢がごまんとあって、電車は乗り遅れてもすぐ次が来て。
無いものを探し始めたらキリがなかった。
上京した若者たちが地元に帰らない理由が痛いほど分かった。
そんな私が、なぜ、島に戻って子供を二人育てているのか。
いろんな理由はあるけど敢えて挙げるとすれば、どうしようもなく恋しくなってしまったからだ。
早朝から聞こえる変な鳥の鳴き声が。夏の田んぼの蛙の大合唱が。ふと見上げればそこで輝いているたくさんの星達が。夕日が沈んでいく日本海のきらめきが。ひんやりと静まり返った冬の日の澄んだ空気が。おじいちゃんおばあちゃんの話すクセの強い佐渡弁が。
何もないと思っていたのに、こんなにも愛おしいものがたくさんあった。ずっとそこにあって、当たり前すぎて気付いていなかった。
都会と田舎の両方で暮らしてみないと気付けないこともあるだろうし、不便な田舎暮らしを否定する人も世の中にはいるだろうし、なんとなく島暮らしにあこがれるけど実態を知りたいという人もいるかもしれない。
なので、このサイトでの発信を通して、島暮らしも案外良いもんだよ、という話をしていけたらなと思う。
海に囲まれた佐渡島で、朱鷺やたぬきと遭遇しながらのんびり暮らすのも楽しいよ。
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